2024年NHKマイルカップ過去データと予想分析

第29回 ＮＨＫマイルＣ（Ｇ１）

2024年５月５日（日）　東京競馬場　芝1600ｍ

３歳マイル王決定戦・ＮＨＫマイルＣ。1996年の創設以来、数多くの名馬を出している一戦だ。優勝馬にはエルコンドルパサーやクロフネ、キングカメハメハと、引退後にも種牡馬として活躍馬を多数送り出した名馬が見られる。近年では2014年の優勝馬・ミッキーアイルが後にマイルＣＳを制し、2019年のアドマイヤマーズは同年の香港マイルで海外Ｇ１制覇を飾っている。また、ここでは敗戦を喫した馬からもジャスタウェイ（12年６着）やレインボーライン（16年３着）、グランアレグリア（19年５着降着）、ソングライン（21年２着）など、さまざまな路線での活躍馬が出現している。今年はどの馬がまず３歳マイル王の座に就くのか、過去の傾向を見てみよう。

NHKマイルカップ過去10年間配当金

NHKマイルカップ過去10年間結果

NHKマイルカップ過去10年間結果前走レース

馬ランドの過去データ表の見方

当サイトの表の読み方をご説明します。
下記のように●●●ステークス人気別過去データの欄があるとします。

●●●ステークス
人気別過去データ

人気	着別度数	勝率	連対率	複勝率
１番人気	0-1-0-2/3	0.0%	33.3%	33.3%
２番人気	0-0-2-1/3	0.0%	0.0%	66.7%

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人気別過去データ

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前走レース名別過去データ

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種牡馬別過去データ

３～５番人気の不振が際立つ

過去10年、１～２番人気は計【5.3.2.10】でまずまずの成績。しかし３～５番人気は計【2.2.1.25】複勝率16.7％で、特に５番人気は好走がない。その分、６番人気以下から上位に絡む馬も多く、２桁人気馬も10年で６頭が馬券圏内に食い込んでいる。一昨年は３着に18番人気カワキタレブリーが激走して３連単153万馬券。全体を通しても、昨年ほど極端な例は少ないにせよなかなか荒れており、波乱前提で穴馬を多く拾っていきたいレースだ。

２桁馬番が８勝

馬番別の成績では、内の１～６番は３着以内馬１～２頭ずつで計【1.5.3.51】複勝率15.0％と、優勝馬が１頭しか出ていない。中ほどでは11番【3.0.0.7】や10番【1.1.3.5】あたりが良く、これを含む７～11番は【5.3.4.38】複勝率24.0％の好成績だ。一転して12～14番は不振。15番から外は各１勝で【4.1.2.33】同17.5％と上々の結果を出している。12～14番の不振をどう捉えるかが難しいが、優勝馬10頭中８頭は２桁馬番から出ているため、中～外枠を重視したい印象だ。

【馬番別成績（過去10年）】

馬番 成績 勝率 連対率 複勝率
1～6 1-5-3-51 1.7% 10.0% 15.0%
7～11 5-3-4-38 10.0% 16.0% 24.0%
12～14 0-1-1-27 0.0% 3.4% 6.9%
15～18 4-1-2-33 10.0% 12.5% 17.5%

前走Ｇ１組なら今回上位人気馬か前走大敗馬

前走クラス別の成績では、Ｇ１に出走していた馬が【4.3.1.24】複勝率25.0％で他をややリードしている。好走した８頭はいずれも桜花賞か皐月賞に出走していた。 　この８頭のうち６頭はＮＨＫマイルＣ３番人気以内。この前走Ｇ１かつ今回３番人気以内に該当する馬は【4.2.0.4】連対率60.0％を記録している。このレース全体の１～３番人気の連対率は33.3％のため、前走Ｇ１組の人気馬はその他の人気馬より信頼性はかなり高いことがわかる。残る２頭、キングズオブザサンとソングラインは皐月賞や桜花賞で15着に大敗しており、こういったタイプの穴馬にも注意したい。

【前走Ｇ１からの好走馬（過去10年）】

年 馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順
2014 キングズオブザサン 12 3 皐月賞 11 15
2015 クラリティスカイ 3 1 皐月賞 10 5
2016 メジャーエンブレム 1 1 桜花賞 1 4
ロードクエスト 2 2 皐月賞 5 8
2017 アエロリット 2 1 桜花賞 6 5
2019 アドマイヤマーズ 2 1 皐月賞 2 4
2020 レシステンシア 1 2 桜花賞 1 2
2021 ソングライン 7 2 桜花賞 7 15

Ｇ１組以外なら前走連対馬が中心

前走Ｇ２以下からの好走馬は数が多いため、表には2019年以降の５年分を掲載した。この５年間、この組の好走馬は前走でも連対していた馬がかなり多い。以前は前走１着か５着以下の馬しか好走していなかったこともあったが、近年は傾向に変化が出た。カワキタレブリー以外は前走４着以内のため、少なくともこのラインはクリアする馬を狙いたい。

【前走Ｇ２以下からの好走馬（過去５年）】

年 馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順
2019 ケイデンスコール 14 2 毎日杯 7 4
カテドラル 7 3 アーリントンC 7 2
2020 ラウダシオン 9 1 ファルコンS 1 2
ギルデッドミラー 6 3 アーリントンC 4 2
2021 シュネルマイスター 2 1 弥生賞 2 2
グレナディアガーズ 1 3 ファルコンS 1 2
2022 ダノンスコーピオン 4 1 アーリントンC 1 1
マテンロウオリオン 3 2 ニュージーランドT 1 2
カワキタレブリー 18 3 アーリントンC 12 11
2023 シャンパンカラー 9 1 ニュージーランドT 7 3
ウンブライル 8 2 ニュージーランドT 5 2
オオバンブルマイ 3 3 アーリントンC 5 1

坂路追いで目立たなかった馬に注目か

好走馬の追い切りは坂路組が中心になる。過去10年の出走馬の追い切りを、パソコン用調教分析ソフト「競馬道 調教マスター」で分析すると、栗東坂路が【5.4.8.57】複勝率23.0％、美浦南坂路が【2.0.0.10】同16.7％。合わせて【7.4.8.67】と、３着以内馬の３分の２近くを占めている。 　まず栗東坂路組の好走を見ると800ｍの時計を要した馬が多いことがわかる。800ｍ53秒５以下だった馬は【1.0.2.21】だったのに対し、53秒６以上を要すると【4.4.6.36】だ。一方の美浦の坂路組は、好走した２頭とも「馬ナリ」での追い切りだった。

【坂路コースで追い切った好走馬（過去10年）】

コース 年 馬名 人気 着順 調教馬場 追い切り時計 脚色 併せ
美南坂 17 アエロリット 2 1 良 １回 53.5-38.8-25.0-12.1 馬ナリ
23 シャンパンカラー 9 1 良 １回 52.5-38.2-25.5-12.7 馬ナリ
栗東坂 14 ミッキーアイル 1 1 稍 １回 50.6-37.8-25.4-13.0 一杯
タガノブルグ 17 2 良 １回 54.3-39.6-25.7-13.1 馬ナリ
15 クラリティスカイ 3 1 良 １回 53.6-38.9-25.6-13.1 強目 先着
16 レインボーライン 12 3 良 １回 55.6-40.5-26.2-13.2 馬ナリ
17 ボンセルヴィーソ 6 3 良 １回 55.4-40.6-26.5-13.0 馬ナリ
18 ケイアイノーテック 6 1 良 １回 53.9-39.3-25.1-12.2 一杯 先着
レッドヴェイロン 9 3 良 １回 53.9-39.7-25.7-12.7 一杯 遅れ
19 アドマイヤマーズ 2 1 不 １回 56.6-41.3-26.8-12.9 馬ナリ
ケイデンスコール 14 2 重 １回 55.3-39.8-25.2-12.5 一杯
カテドラル 7 3 重 １回 57.2-40.6-26.3-12.5 馬ナリ
20 レシステンシア 1 2 良 １回 56.5-40.5-27.0-13.7 馬ナリ
ギルデッドミラー 6 3 良 １回 53.3-38.7-24.8-12.1 馬ナリ
21 グレナディアガーズ 1 3 良 １回 54.9-39.3-25.3-12.2 馬ナリ 同入
22 ダノンスコーピオン 4 1 良 １回 54.2-39.6-25.6-12.5 馬ナリ
マテンロウオリオン 3 2 良 １回 53.9-40.1-26.8-13.6 馬ナリ
カワキタレブリー 18 3 良 １回 54.8-40.3-26.4-13.2 馬ナリ 先着
23 オオバンブルマイ 3 3 良 １回 52.8-38.5-25.2-12.8 馬ナリ 先着

2024年ＮＨＫマイルＣ（Ｇ１）調教状態＆コメント

アスコリピチェーノ　Ｃ．ルメール

調教状態

重心が低くてぶれのないフットワーク。今週も楽々と好時計をマークしてきた。集中力も素晴らしくて、心身ともに完成度は極めて高いのではないか。

厩舎コメント

(疲れ皆無)黒岩師――桜花賞は序盤がスムーズでなく、そこをうまく勝ち馬に突かれて悔しい２着でした。レース後はノーザンＦ天栄で短期でリフレッシュ。回復期から非常に食欲旺盛で、先週は中３週というより１週前の感覚で動かし、直前も併せてしっかりと。馬体は480キロ台で推移、メンタルも体調も高いレベルで安定。力を出し切れるコースなので、牡馬相手の今回も期待しています。

アルセナール　横山武史

調教状態

（ノーザンＦ天栄から４月６日に帰厩）姉ナミュールに似たサイズとフォーム。抜群の集中力で最後まで抑えたまま。脚力相当で久々の不安もなさそう。

厩舎コメント

(体質改善)太田助手――疲れが残りやすい傾向にありましたが、内臓面の弱さが改善して実が入ってきました。週毎に動きの質や体の張りも良くなっています。マイルは少し忙しい印象も、この相手に現時点の力を出し切ってどこまでやれるかですね。

アレンジャー　横山和生

調教状態

頭の高さは相変わらずだが、内にモタれる癖も見せずスムーズに登坂。適度にリラックスして好調をキープ。

イフェイオン　西村淳也

調教状態

丸みを帯びた馬体で、輸送を控えていることを思えばちょうどいい。落ち着きがあるのもいい。フットワークにバネがあって素軽く、牡馬相手でもやれていい気配。

ウォーターリヒト　菅原明良

調教状態

使い詰めでもしっかり負荷をかけられているのがいい。ただ、少し加速に時間がかかる感じで、上積みは？

厩舎コメント

(東京なら)河内師――スプリングＳ、それに皐月賞と全然いいところがなかったあたり、中山のコース形態は合わなかったと思う。状態はキープ。今回は広い東京。違った面を出せれば。

エンヤラヴフェイス　菱田裕二

調教状態

２週続けて、馬の間を突く調教。抜け出す時の脚は力強いが、追われてからもうひと押し利かない感じで。

キャプテンシー　Ｍ．デムーロ

調教状態

プール併用だが、コースと坂路で乗り込み量十分。いつも良く見せるタイプらしく、軽快なフットワークで登坂。やや前向き過ぎる印象だが、デキは良さそう。

ゴンバデカーブース　Ｊ．モレイラ

調教状態

（４月３日に山元ＴＣから帰厩）生ズルさは出ているが、馬体はすっきりとして重心の低いフォームで、併せ馬の内で実戦並みにしっかりと負荷をかけられていた。

厩舎コメント

(力出せる)堀師――重度の挫跖で、パッドが入った状態で入厩。爪の更新の過程で新しい蹄底に刺激を与えないように慣らしてきたが、１週前は古い蹄底を取って、薄いパッドに替えて追い切った。直前は普通の蹄鉄で追い切ったが、爪に負荷がかかってもかばっていなかったし、走りのバランスも良かった。力を出せる仕上がり。

シュトラウス　北村宏司

調教状態

スタンド前から馬場入りするなど気を使っての追い切りだが、ガツンと行く感じはなくしっかり折り合った。手前もスムーズで、成長を感じさせる追い切り。

ジャンタルマンタル　川田将雅

調教状態

間隔が詰まるので強い負荷は必要なし。ラップが遅かった分前走よりも力みはあったが、手綱が緩むと鋭く伸びてきた。馬体が引き締まって張りも良化。好気配。

厩舎コメント

(いい形で)高野師――今回は中２週。皐月賞がいい負荷になったと捉えて、それを上手に使おうと。普段から元気があってパワフル。より素軽くなった気がします。あとは当日まで乗りやすさを追求したうえで、いい形でジョッキーに委ねることができれば。

ダノンマッキンリー　北村友一

調教状態

先週は道中のペースが速かったので、折り合いも楽だったが、今週は向正面で掛かっていた。どうしても緩いペースだと行きたがる。発汗も多かった。馬は非常にいいし、バネは十分だが……。実戦での折り合い次第。

チャンネルトンネル　岩田望来

調教状態

転厩を挟んでコンスタントに使われているが、毛ヅヤが良くて馬体がいい。更なる上積みまではどうかだが、テンポのいい走りで安定したフットワーク。デキ安定。

ディスペランツァ　鮫島克駿

調教状態

この厩舎は土曜日に追い切ることが多く、27日は大差追走先着で絶好の動き。時計も優秀だった。１日は軽めで済ませたが、迫力のある馬体で堂々たる雰囲気。快調。

厩舎コメント

(期待大きく)田嶋助手――前走は気持ち位置を取ったレースを。直線で外へ出せれば何とかなるという雰囲気でした。使ったあとも順調。疲れは感じないですよ。広い東京なら、よりレースをしやすそう。期待しています。

ノーブルロジャー　松山弘平

調教状態

本追い切りにあたる27日（土）に自己ベストを大幅に更新。騎手騎乗だった今週は集中力もあって時計の印象以上のスピードを感じた。依然として気配は申し分ない。

厩舎コメント

(折り合って)田嶋助手――気持ちが入り過ぎることなく、この中間は順調に進めてこられました。能力が高い馬。東京1600ｍの舞台は望むところです。あとは良馬場で折り合って運べれば。

ボンドガール　武豊

調教状態

全身を柔らかく使って、直線も素晴らしい推進力。ただ、道中はかなり行きたがり、手綱を引く場面。上積みは大きいが、テンションが上がる不安もあるか。

厩舎コメント

(上積みある)手塚師――休養明けだった前走も内枠からうまく流れに乗って好内容の２着だった。折り合い面から稽古は単走だが動きが良くて上積みもある。今回も強い相手がいるが通用のポテンシャルはあると思っている。

マスクオールウィン　岩田康誠

調教状態

直前は３頭の真ん中で我慢させながら。楽々とミトノオーに先着したように脚力は抜群。態勢は整ったか。

ユキノロイヤル　石橋脩

調教状態

追走しての同入だが、直線は少しモタつく場面。滑らかで馬体の張りなどは悪くないのだが……。

ロジリオン　戸崎圭太

調教状態

全身がバネのようで抜群の推進力。直線の反応、伸び脚も文句なしだった。毛ヅヤもピカピカ。万全だろう。

2024年NHKマイルカップ（Ｇ１）ステップレース

ステップレース１　皐月賞（Ｇ１）

2024年 4月 14日(日) 中山11Ｒ 皐月賞 17頭 芝 2000m

着順 馬番 馬名 性齢 重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気b
1 13 ジャスティンミラノ 牡3 57 戸崎 圭太 01:57.1 レコード 2b
2 12 コスモキュランダ 牡3 57 J.モレイラ 01:57.1 クビ 7b
3 8 ジャンタルマンタル 牡3 57 川田 将雅 01:57.2 1/2 3b
4 9 アーバンシック 牡3 57 横山 武史 01:57.5 1 1/2 6b
5 14 シンエンペラー 牡3 57 坂井 瑠星 01:57.5 クビ 5

レース回顧

メイショウタバルが1000ｍ通過は57秒５とハイペースで逃げる展開。３番手追走のジャンタルマンタルが、直線早めに抜群の手応えで先頭に立つ。そのまま押し切るかと思えたところ、ゴール直前でジャスティンミラノとコスモキュランダに交わされた。ジャスティンミラノはデビュー２戦目で共同通信杯を勝利しただけのことはある。コスモキュランダは前走の弥生賞勝利がフロックではないことを証明した。

ステップレース２　桜花賞（Ｇ１）

2024年 4月 7日(日) 阪神11Ｒ 桜花賞 18頭 芝 1600m

着順 馬番 馬名 性齢 重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気
1 12 ステレンボッシュ 牝3 55 J.モレイラ 01:32.2 2
2 9 アスコリピチェーノ 牝3 55 北村 宏司 01:32.3 3/4 1
3 11 ライトバック 牝3 55 坂井 瑠星 01:32.3 クビ 7
4 7 スウィープフィート 牝3 55 武 豊 01:32.4 1/2 6
5 15 マルガイエトヴプレ 牝3 55 鮫島 克駿 01:32.5 クビ 9

レース回顧

ショウナンマヌエラが1000ｍ通過58秒１で逃げる。直線半ばで先頭に立ったステレンボッシュが、そのまま力強い末脚を披露して勝利。アスコリピチェーノは４コーナー手前で外に膨れ、直線ではよく伸びたが、勝ち馬との差は詰まらず２着。後方待機のライトバックは最後に鋭く伸びて３着。スウィープフィートも鋭い末脚を見せて４着。

ステップレース３　ニュージーランドＴ（Ｇ２）

2024年 4月 6日(土) 中山11Ｒ ニュージーランドＴ 16頭 芝 1600m

着順 馬番 馬名 性齢 重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気
1 7 エコロブルーム 牡3 57 横山 武史 01:34.4 3
2 3 ボンドガール 牝3 55 武 豊 01:34.5 3/4 1
3 4 ユキノロイヤル 牡3 57 石橋 脩 01:34.5 アタマ 9
4 1 カズミクラーシュ 牡3 57 菅原 明良 01:34.6 1/2 5
5 2 ドリーミングアップ 牡3 57 吉田 豊 01:34.7 1/2 12

レース回顧

ユキノロイヤルが1000ｍ通過58秒９のマイペースで逃げる。直線に向くと好位追走のボンドガールがインから伸び、エコロブルームが外から襲い掛かる。最後はエコロブルームの決め手が勝って１着。ボンドガールが3/4差の２着。逃げたユキノロイヤルはしぶとく粘り、アタマ差の３着。