2023年エリザベス女王杯過去データと予想分析

第48回 エリザベス女王杯（Ｇ１）

2023年11月12日（日）　京都競馬場　芝2200ｍ

秋の女王決定戦・エリザベス女王杯。以前は現在の秋華賞に相当するレースだったが、1996年に古馬に開放され、今や古馬と３歳馬の激突が見られる一戦としてすっかり定着。京都競馬場改修のため昨年まで３年連続で阪神競馬場で代替されたが、今年は４年ぶりに本来の京都に戻って開催される。

外国馬・スノーフェアリーの連覇はもう13～12年前になり、過去10年は日本馬同士の争い。マリアライト（15年）やクイーンズリング（16年）、リスグラシュー（18年）、そして19～20年連覇のラッキーライラックと、牡馬相手のＧ１でも好勝負を演じるような実力馬が勝利を飾ってきた。今年、牝馬の頂点に立つのはどの馬か、過去の傾向を見てみよう。

エリザベス女王杯過去10年間配当金

エリザベス女王杯過去10年間結果

エリザベス女王杯過去10年間結果前走レース

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好走馬の大半は７番人気以内だが……

過去10年、１番人気は１勝止まり。３番人気が最多の４勝を挙げている。これら７番人気以内の馬が計【9.7.8.46】と好走馬30頭中24頭を占める。クィーンスプマンテが優勝した12年前の2009年に11→12番人気で馬単25万馬券となった後は比較的落ち着いた傾向だったが、一昨年は10→７→９番人気で大きく荒れ、昨年も２着同着ながら馬連は一方が万馬券となった。１、２番人気が１勝ずつにとどまることもあって、極端な人気薄の好走がさほど多くはない中でもガチガチの決着にはなりづらい点には注意したい。

４歳馬を中心に

過去10年の年齢別出走数は、３歳が38頭、４歳が60頭、５歳が59頭。しかし３歳馬が８頭、４歳馬が16頭を馬券圏内に送り込んでいるのに対し、５歳馬は５頭のみ。そのため好走確率では３、４歳馬に大きく水を空けられている。また、好走確率は悪くない３歳馬も該当馬があまり多くないため、毎年のように好走するというには至らない。３歳馬を割り引くほどではないものの、中心には４歳馬を据えたいレースだ。

秋華賞組ならＧ１好走かＯＰ勝ち馬

３歳の好走馬８頭中６頭は秋華賞組。ただ、この秋華賞組は好走しても各年１頭までで、２頭以上の好走はあまり期待できない。その６頭を見ると秋華賞での着順や今回の人気はまちまち。そこで実績面をみると、Ｇ１で好走した経験があったのは半数の３頭と、同世代同士のＧ１で馬券に絡んだ経験のない馬でも古馬相手に通用するケースはある。ただ、タッチングスピーチはローズＳ、ステラリアは忘れな草賞、ライラックはフェアリーＳと、オープン・重賞勝ちくらいは必要だ。

【前走秋華賞からの好走馬（過去10年）】

年 馬名 人気 着順 前走人気 前走着順 主なＧ１実績
13 メイショウマンボ 2 1 3 1 オークス、秋華賞
14 ヌーヴォレコルト 1 2 1 2 オークス
15 タッチングスピーチ 4 3 2 6 （秋華賞６着）
17 モズカッチャン 5 1 5 3 オークス２着、秋華賞３着
21 ステラリア 7 2 9 6 （秋華賞６着）
22 ライラック 12 2 6 10 （秋華賞10着）

秋華賞以外ならＧ２組

前走秋華賞以外からの好走馬は該当数が多いため、過去５年の傾向で見てみたい。好走馬は計13頭で、札幌記念や府中牝馬ＳなどＧ２組が中心だ。また、前走掲示板外から巻き返した馬は2021年のアカイイト１頭しかおらず、５着以内が目安になる。なお、前走Ｇ３組は【0.0.1.11】、オープン特別組は【0.0.0.18】、条件戦組は【0.1.0.23】（いずれも過去10年）と、Ｇ３以下に出走していた馬は苦しい。

【前走秋華賞以外からの好走馬（過去５年）】

年 馬名 人気 着順 前走 前走人気 前走着順
18 リスグラシュー 3 1 府中牝馬Ｓ 2 2
クロコスミア 9 2 府中牝馬Ｓ 6 5
モズカッチャン 1 3 札幌記念 4 3
19 ラッキーライラック 3 1 府中牝馬Ｓ 2 3
クロコスミア 7 2 府中牝馬Ｓ 3 5
ラヴズオンリーユー 1 3 オークス 1 1
20 ラッキーライラック 1 1 札幌記念 1 3
サラキア 5 2 府中牝馬Ｓ 7 1
ラヴズオンリーユー 3 3 府中牝馬Ｓ 1 5
21 アカイイト 10 1 府中牝馬Ｓ 12 7
クラヴェル 9 3 新潟記念 2 3
22 ジェラルディーナ 4 1 オールカマー 5 1
ウインマリリン 5 2 札幌記念 5 3

「馬ナリ」調整馬を中心に

過去10年の出走馬の追い切りを分析すると、優勝馬10頭中８頭は「馬ナリ」で調整された馬だった。牝馬ながら「一杯」（叩一杯等も含む、以下同）で追われた馬も多いが、連対率は5.6％止まり。「強目」も同10.0％とやや劣勢だ。

そんな中「強目」以上で追われた好走馬を見ると、10頭中８頭が５番人気以内。上位人気に推された馬が、勝ち切れずに２～３着というパターンが多めになっている。また「強目」以上で勝った２頭は阪神で代替された2020年と21年。京都に戻る今年は、たとえ好走しても２着以下になる可能性が高そうだ。

【追い切り脚色別成績（過去10年）】

脚色 成績 勝率 連対率 複勝率
馬ナリ 8-7-4-80 8.1% 15.2% 19.2%
強目 1-3-3-33 2.5% 10.0% 17.5%
一杯 1-1-2-32 2.8% 5.6% 11.1%

【追い切り強目～一杯の好走馬（過去10年）】

年 馬名 年齢 人気 着順 コース 馬場 追い切り時計 位置 脚色 併せ
14 ヌーヴォレコルト 3 1 2 美南Ｗ 重 81.5-65.3-50.8-37.4-12.7 8 一杯
15 ヌーヴォレコルト 4 1 2 美南Ｗ 重 70.0-53.6-38.5-12.3 6 強目
タッチングスピーチ 3 4 3 栗東坂 重 1回 52.2-38.4-25.3-12.7 一杯 0.1秒遅れ
16 ミッキークイーン 4 2 3 栗東坂 稍 1回 52.0-38.0-24.5-11.9 末強目 0.5秒先着
17 ミッキークイーン 5 3 3 栗東坂 良 1回 52.0-37.6-24.4-12.1 強目 クビ先着
18 モズカッチャン 4 1 3 栗東坂 良 1回 54.4-39.9-25.8-12.5 末強目 0.5秒先着
19 クロコスミア 6 7 2 栗東坂 良 1回 55.0-39.9-26.0-12.8 強目
20 ラッキーライラック 5 1 1 栗東CW 良 80.8-66.2-51.6-38.0-12.3 6 末強目 0.2秒先着
21 アカイイト 4 10 1 栗東坂 稍 1回 51.6-37.8-24.9-12.7 稍一杯
22 ウインマリリン 5 5 2 栗東CW 良 83.2-67.8-52.5-37.1-11.0 5 強目

2023年エリザベス女王杯（Ｇ１）調教状態＆コメント

アートハウス　坂井瑠星

調教状態

(チャンピオンヒルズから10月４日帰厩)休養前より馬体が大きくなっているし、フォームがのびやかになっている。馬場の荒れた時間帯でラスト11秒２がそれを表している。イレ込みもない。春とは違う。

厩舎コメント

(折り合いが鍵)福永助手――１週前にジョッキーが乗ってしっかりやったので、今週は馬なりで。骨折明けですが、しっかり動けています。休み明けで距離も2200ｍなので、うまく折り合えるかどうかが鍵になると思います。

イズジョーノキセキ　岩田康誠

調教状態

前走は10キロ減だったが、細く見せず、肉づきのいい馬体。肌艶が良く、一歩一歩が実にしっかり。終いを伸ばす感じで数字以上の力強い伸びを見せた。上昇気配。

ククナ　浜中俊

調教状態

(ノーザンＦ天栄から10月18日に帰厩)栗東入厩。非常に肌艶がいいし、同じレースを使う同じ関東馬サリエラを脚いろで上回った。ひと頃より体幹がしっかりした。相手は強化したが、自身も良くなっている。

ゴールドエクリプス　岩田望来

調教状態

朝イチの馬場でこの馬としてはリラックス。手前を替えるのが遅かったが、ここに入っても上位の馬。芝並みの速い時計(自己ベスト)が出たのも、好調な証拠。

サリエラ　Ｔ．マーカンド

調教状態

栗東入厩。多少硬い感じがあるが、右回りのコーナーワークはスムーズで馬体もふっくら。もう少し前進気勢が欲しかったが、悪くはない状態。

厩舎コメント

(今回は順調)国枝師――新潟記念は内枠で後方から窮屈な競馬だったし、展開も不向きだった。中間に挫跖のアクシデントがあった前走に比べて今回は順調にきている。直線の長い京都は合っているし、ペースが流れて終いの脚が生きれば。

シンリョクカ　木幡初也

調教状態

格下でも動く相手を追走して楽に同入。前回も良かったが、前向きでグイグイ前に進んで行く感じ。馬体が引き締まって、躍動感も十分。今度こそ万全かも。

ジェラルディーナ　Ｒ．ムーア

調教状態

木曜追い。先行していたのに、ラストの脚いろは見劣った。ひと頃の細い感じはないし、バネそのものはある。ただ、先週もそうだが伸びが……。それでも順調だし、直線11秒４もこの馬としては速い方。

厩舎コメント

(期待できる)斉藤崇師――前走のオールカマーを使ってここへ。予定通りのローテで、牧場から戻ったあとは追う毎に良くなってきました。前走の中山と比べて、京都外回りの方がレースをしやすそう。期待しています。

ディヴィーナ　Ｍ．デムーロ

調教状態

やや線の細い感じのはあるものの、非力感は一切なし。テンから掛かるくらいの行きっぷりで、ラストで仕掛けられると、反応良く伸びてきた。繋も柔軟で好調。

厩舎コメント

(更に距離延長も)友道師――Ｍ．デムーロ騎手が乗り出してからは返し馬でうまく折り合えていて、それがレースにつながっています。更に距離が延びる点が鍵ですが、2200ｍでも問題ないと言ってくれてますし、引き続きリズム良く走らせてくれれば。

ハーパー　川田将雅

調教状態

前走で増えた馬体をキープして、張り艶上々。春よりも体幹がしっかりした感じで、軸がブレずに脚捌きもキビキビ。ひと叩きされて素軽さがグンと出てきた。

厩舎コメント

(外回り2200ｍは歓迎)友道師――前走は京都内回りコースの内枠で、窮屈なところに入る展開。リズム良くレースできなかったですね。外回りの2200ｍに替わり、頭数も少し減ってレースはしやすくなると思います。好メンバーですが、持ち味の長くいい脚を発揮できれば十分チャンスはあるはずです。

ビッグリボン　西村淳也

調教状態

１週前にＣＷでビシッと追われて好時計をマーク。当週は坂路で併走仕上げだが、前肢の回転の利いた軽快なフットワーク。ひと叩きされて素軽さが増してきた。

ブレイディヴェーグ　Ｃ．ルメール

調教状態

栗東入厩。先週凄い伸びを見せたが、今週もグイグイ伸びていた。姿にも品があるし、骨折経験があるとはいえ、硬さがまったくない。関東馬は大外を回ることはないが、それにしても時計は上々。秋華賞を自重したのが、非常にいい方向に向いている。

厩舎コメント

(ここでも)宮田師――出負けした前走もうまくリカバーはできましたが、直線で加速に時間がかかりました。それでもレコード決着の２着で能力は示しました。今回も栗東滞在での調整ですが、毛ヅヤが良く体調はいいし、京都外回りもいいと思います。

マリアエレーナ　三浦皇成

調教状態

いつもの火曜追い。しっかりムチを入れて負荷をかける。馬体減もなく順調な調整内容。硬さもない。

厩舎コメント

(チャンス十分)高島助手――これまで一線級の牡馬相手にも臆せず走ってきた馬。どんな条件、どんな相手にも真面目に走ってくれるのがこの馬のいいところです。４年ぶりの京都での開催。ここは念願の直線が平坦コースの牝馬限定ＧⅠ。機は熟したと思います。

ライラック　戸崎圭太

調教状態

遅れは追わなかった分。首を大きく使って、仕掛ければまだまだ伸びそうな勢いだった。かつての華奢な感じはなく、昨年以上に逞しさに溢れている。

ルージュエヴァイユ　松山弘平

調教状態

前走の反動も残らず順調にメニューを消化。馬なり中心だがひと叩きで馬体に張りを増し、順当に上昇を辿る。

厩舎コメント

(好態勢)黒岩師――先週ウッドで負荷をかけ、直前は予定通り坂路で余力十分。レース間隔が詰まる点はポイントでしたが、使ったあとも硬さが出ず、週末の日曜も含めてしっかり攻められました。今年は期待をかけてきた一頭。本番の舞台で、長くいい脚を使える強みを生かせれば。

ローゼライト　和田竜二

調教状態

朝イチの馬場でややアブミを長めに踏む。ブリンカーを着け多少イライラしているが、戻った馬体を維持。

2023年エリザベス女王杯ステップレース

ステップレース１　秋華賞（Ｇ１ ）

2023年 10月 15日(日) 京都11Ｒ 秋華賞 18頭 芝 2000m

着順 馬番 馬名 性齢 負担重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気
1 6 リバティアイランド 牝3 55 川田 将雅 02:01.1 1
2 7 マスクトディーヴァ 牝3 55 岩田 望来 02:01.2 1 3
3 2 ハーパー 牝3 55 C.ルメール 02:01.6 2 1/2 2
4 5 ドゥーラ 牝3 55 斎藤 新 02:01.6 ハナ 5
5 8 モリアーナ 牝3 55 横山 典弘 02:01.7 クビ 7

レース回顧

コナコーストが1000ｍ通過61秒９のスローで逃げる展開。リバティアイランドは中団追走から、外を回って直線入り口で先頭に立つと、そのまま力強く伸びて完勝。見事に牝馬三冠を成し遂げた。後方から鋭く伸びたマスクトディーヴァは、リバティアイランドに１馬身差まで詰め寄ったが２着。先行したハーパーは直線で２番手に浮上するも最後に差されて３着。

ステップレース２　アイルランドトロフィー府中牝馬Ｓ（Ｇ２）

2023年 10月 14日(土) 東京11Ｒ アイルランドトロフィー府中牝馬Ｓ 13頭 芝 1800m

着順 馬番 馬名 性齢 負担重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気
1 7 ディヴィーナ 牝5 55 M.デムーロ 01:46.1 1
2 5 ルージュエヴァイユ 牝4 55 横山 武史 01:46.1 ハナ 4
3 8 ライラック 牝4 55 戸崎 圭太 01:46.2 クビ 10
4 13 フィアスプライド 牝5 55 北村 宏司 01:46.2 クビ 11
5 6 プレサージュリフト 牝4 55 C.ルメール 01:46.4 1 2

レース回顧

ディヴィーナが押し出されるようにハナに立ち、1000ｍ通過60秒0のマイペースで逃げる。直線に入っても３馬身ほどのリード。脚色は衰えず、そのまま押し切った。ルージュエヴァイユはスタートがイマイチで後方からの競馬。直線では外から鋭く伸びて勝ち馬とはハナ差の２着。好位の後ろからロスなく立ち回ったライラックが３着。フィアスプライドは上がり最速で追い込み４着。

ステップレース３　ローズＳ（Ｇ２）

2023年 9月 17日(日) 阪神11Ｒ ローズＳ 17頭 芝 1800m

着順 馬番 馬名 性齢 負担重量 騎手名 タイム 着差 単勝人気
1 12 マスクトディーヴァ 牝3 54 岩田 望来 01:43.0 レコード 7
2 5 ブレイディヴェーグ 牝3 54 C.ルメール 01:43.2 1 1/2 1
3 10 マラキナイア 牝3 54 川田 将雅 01:43.5 1 3/4 5
4 9 アンリーロード 牝3 54 吉田 隼人 01:43.6 クビ 10
5 11 ココナッツブラウン 牝3 54 横山 武史 01:43.7 3/4 8

レース回顧

ユリーシャが逃げる展開。マスクトディーヴァは中団追走から、直線で力強く伸びて勝利。ＪＲＡレコードを打ち立てた。１番人気のブレイディヴェーグは後方からの競馬となり、最後の直線で追い込んだが１馬身1/2差及ばず２着。デビュー４戦目でこの競馬は見事。マラキナイアは後方追走から直線でよく伸びて３着を確保した。

2023年エリザベス女王杯予想

過去10年の払戻金を見ると波乱含みだが、臨戦過程はほぼ一定で、連対馬21頭中18頭が秋華賞、オールカマー、府中牝馬Ｓ組。大方、この３つのレースで好走していた馬に絞られ、要は、軸馬を間違えなければ、的中への近道になる。今年はブレイディヴェーグが異例の臨戦だが、秋華賞組と同等と考えていい。

管理人の予想印

◎ ブレイディヴェーグ
○ ジェラルディーナ
▲ ハーパー
◇ ディヴィーナ
△１ サリエラ
△２ ルージュエヴァイユ
△３ ライラック
△４ マリアエレーナ

◎ブレイディヴェーグ

デビュー４戦、すべて上がり600メートルは最速。秋華賞に出走していれば、ハーパーと互角の勝負をしていたことは想像に難くないが、ローズＳが超高速決着。秋華賞は反動が出ていてもおかしくないケースだったので、この臨戦は好感が持てる。勿論、牝馬同士ならＧⅠレベル。

○ジェラルディーナ

昨年の覇者で、芝2200メートルを得意とするところに、この馬の個性がある。ただし、宝塚記念４着で脚の使いどころの難しさも感じた。つまり、昨年の阪神内回りから京都外回りに替わって、そこが最大のポイントになる。

▲ハーパー

リバティアイランドには完敗が続く。芝1600メートルと2000メートルでは使える脚に限界があり、他馬の瞬発力に太刀打ちできない。2200メートルに距離が延びるのは歓迎だが、ペースが落ち着き過ぎると都合が悪い。積極策に活路がある。

◇ディヴィーナ

府中牝馬Ｓは逃げ馬不在で、逃げ戦法がうまくいったが、及第の上がりでまとめた。距離は万能型だが、1600メートルの続戦と逃げたあとで、控えた時は折り合いが鍵になる。逃げた方がチャンスはあるだろう。

買い目

単勝/複勝

１

馬連

軸１、７
相手１、２、３、６、７、11、13、14